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気象のプロフェッショナル集団・ウェザーマップの次世代の取り組みに迫る#02 生成AIに頼りながらも、人間にしかできない領域に特化し、エンドユーザーに寄り添った研究開発を

第1回ウェザーマップの会社概要、開発体制についてご紹介しました。第2回は同社の開発体制や強みと弱みをありのままに伺います。エンジニアあるあるの悩みも赤裸々に語ってもらいました。

(写真左から)
ウェザーマップ 山谷享(やまや・あきら)

営業本部 兼 技術開発事業部ゼネラルマネージャー

ウェザーマップ 渡辺正太郎(わたなべ・しょうたろう)

技術開発事業部アシスタントマネージャー/気象予報士/エンジニア

ウェザーマップ 高野雄紀(たかの・ゆうき)

技術開発事業部エンジニア/気象予報士


ウェザーマップ 小林寿代(こばやし・ひさよ)

コーポレートオフィサー/技術開発事業部 兼 予報センター ゼネラルマネージャー


IMAGICA GROUP 四倉達夫(よつくら・たつお)

Advanced Research Group リサーチディレクター

オー・エル・エム・デジタル 取締役

ウェザーマップの強みとは?

四倉:皆さんが考えるウェザーマップの強みと弱みについてお聞かせください。

小林:当社は気象予報士向けに気象データの Web アプリを開発しているほか、自治体や放送局向けにWeb ブラウザ上で動く画像や動画の生成システムを納入しています。Yahoo! 天気・災害』への情報提供など、多くのユーザー向けのコンテンツをお届けできていることが強みですね。船の運航や道路向けの気象情報の依頼もありますが、当社の規模では対応しきれていないところが弱みです。

 四倉:テレビなどの天気予報で気象図や画像が出ますが、あれはウェザーマップさんが用意されているのですか?

小林:はい。Web アプリを使って気象予報士がどこにいても気象情報を解析でき、画像生成システムで、画像を引き出して大きさを変えたり、矢印を好きな箇所に入れたりとカスタマイズできるようになっています。スタッフの方が少ない現場でも、予報士が自分の話の流れに合わせてカスタマイズできるので、時間短縮にもなり、説得力も増します。私たちは気象データを可視化するコンテンツの力で事業を広げていきたいと考えています。

山谷:当社の気象予報士の登録者数は現在180名超で、全国の気象キャスターの3~4割に相当します。北海道で初めて雪が積もったときや災害時には画像をシェアするなど、気象予報士のネットワークの強さが特長です。一方、在京で活躍したい気象キャスターの数に対しては、枠が限られ、すべての希望に沿えないのが課題です。ですから、テレビ以外のメディアや講演などのお仕事もご紹介しています。天気予報や防災以外に気候変動への対応などに活躍の場を広げる方もいます。

四倉:個人的にTBSラジオのファンでして、気象予報士の長谷部愛さんが天気予報をアートと結び付けて深掘りしているのが面白くて、いつも聴き惚れています(笑)。

高野:いま気象データは膨大で、情報があり過ぎて見づらいので、ある程度人間が解釈して見やすくする必要があります。ポイントを絞ってうまく加工して、より分かりやすく伝えられることが我々の強みだと思います。当社の技術スタッフは気象専門に研究してきた者など、各自得意分野を発揮して活躍していますが、よくも悪くも個人プレーなので、十年先を見据えると組織の拡充が課題です。

気象予報士、視聴者、ユーザーに寄り添った気象情報の開発を目指して

渡辺予報が外れたと感じる原因の少なくとも半分くらいは、細かい情報がきちんと伝えきれていなかったことにあるので、わかっていることはできるだけ伝えられるように工夫しています。一般的に天気予報で使われている「くもり」マークは、白い雲の形をしたものだと思います。ただ、同じくもりでも、少し日差しが出るようなものから、小雨が降っているものまで幅広く、雨が降るのか降らないのかわかりづらいことがあります。ウェザーマップでは雨寄りのものを「黒雲」と表現するなど、弱くても雨が降る可能性があることをお伝えするようにしています。

ただ、情報を増やしても見てもらえなかったら意味がないので、新しいものをやみくもに作ればいいわけでもない。そこは課題です。

四倉:近年、気象衛星の画像がクリアになって伝えるべき情報も増えていますよね。そうは言っても皆さん忙しくてテレビを観なくなり、テレビすら持たない世代も増えるなか、凝縮しなくてはいけない難しさもあるのでしょうか?

渡辺:そうしたことも含めて生成AIやLLM(機械学習システムで大量の学習データを処理して構築した大規模言語モデル)を使いながら新しいことができればと取り組んでいますが、まだ形にはなっていません。ほかにも取り組んでみたいことはありますが、世の中のニーズとどうつなげるかも課題です。

社会の役に立てそうなネタはいくつもあるのですが、時間やタイミングなどなにかもう少しでもうまくできればいいものが作れるはずなのに…という悩みは尽きません。個人的には新しい技術開発に費やせる時間をもっと取りたいですが、そこは取捨選択していくしかない。

四倉:エンジニアあるあるですよね。私たちは映像制作に必要なツールを作っていますが、実際の利用者に沿うよう落とし込むかが一番難しいところだと感じています。新たに開発した技術をエンドユーザーに結び付ける難しさは、どの業界にも共通する課題ですね。

渡辺:ChatGPTがもう少し進化すると、高次元でできることが飛躍的に増えると思いますが、最終的にはなにを作りたいか、どういうものをやっていきたいかですよね。ここは人間にしかできない領域だと思っています。

四倉: AI には決してできないことですよね。気象予報士さんやユーザーに寄り添ったエンジニアの方が多いことが、ウェザーマップさんの一番の強みだと感じました。(続く

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