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クリエイティブ×スペース×テクノロジー映像体験を総合演出するP.I.C.S. TECHとは

#PICS#クリエイティブ×テクノロジー

プロジェクションマッピングやドローン、VR、リアルタイムトラッキングなど、映像技術の進化により、街行く人をアッと驚かせるような視覚表現や、リアルとアンリアルの境界線を跨いだ没入感のある映像体験が次々に登場しています。

IMAGICA GROUPのグループ企業として、新しい映像体験を次々に発表し、国内外で熱視線を集める
株式会社ピクス(以下、ピクス)と、そのなかの「P.I.C.S. TECH」というチームをご存知でしょうか。

ピクスおよび​​P.I.C.S. TECHの組織概要や、これまでにチームが創出してきた映像の体験価値などについて、IMAGICA GROUP  久保田 純が、P.I.C.S. TECHのテクニカルプロデューサー 弓削 淑隆氏と、エンジニア&テクニカルディレクター 上野 陸氏の2名に伺いました。

(写真左から)
P.I.C.S. TECH 弓削 淑隆(ゆげ よしたか)
株式会社ピクス テクニカルプロデューサー

P.I.C.S. TECH 上野 陸 (うえの りく)
株式会社ピクス エンジニア&テクニカルディレクター

IMAGICA GROUP  久保田 純 (くぼた じゅん)
Advanced Research Group ディレクター 
株式会社フォトロン 執行役員 兼 技術開発本部長

エンタティンメント性の高い映像制作を主軸に新たな空間の映像体験を創出「P.I.C.S. TECH」とは?

久保田:弓削さん、上野さん、お時間をいただきありがとうございます。
早速ですが、まずは株式会社ピクスやP.I.C.S. TECHがどんな組織なのか、簡単に教えていただけますか? IMAGICA GROUPというと一般的には映画・ドラマ制作のイメージが強いと思いますが、少し毛色が違いますよね。

弓削:ピクスは元々MTV Japan※のクリエイティブセクションから独立してできた会社です。そのため、当初はミュージックビデオやライブの背景映像などの制作が主軸で、現在も年間100本ほどのミュージックビデオを手掛けています。この領域では、Perfumeさんや星野源さん、RADWIMPSさん、
chelmicoさんなどなど、日本の著名なアーティストで関わったことない方はいないのではないかというほど多くの実績があります。

※MTVは、世界最大級のユース向け音楽&エンターテインメント・ブランド。
1981年にアメリカで誕生し、24時間ミュージックビデオを放送する「MUSIC TELEVISION」=「MTV」としてスタート。
MTV Japanは日本法人のパラマウント・グローバル・ジャパン株式会社が運営。

久保田:元々エンタテインメント性の強い映像づくりが得意なんですね。

弓削:加えて、MTVはミュージックチャンネルにより、音楽を「聴く」ものから、「聴いて観て楽しむ」という新たな文化をつくった歴史があります。こうした革命の瞬間に触れたバックグラウンドはピクスの大切なアイデンティティとして、映像を見るものから体験するものへ昇華することに挑戦し続ける原動力になっていると思います。

P.I.C.S. TECHはピクスという会社のなかにありながら、特に空間での映像体験をテーマにしたチームです。ミュージアムやテーマパーク、イベントなど、さまざまな空間におけるクリエーションに関わってきました。

プロジェクションマッピング黎明期から様々な大規模イベントに参画

久保田:これまでに携わった空間の映像体験の制作実績をご紹介いただけますか?

弓削:まずピクスとして最も有名なのは2012年の「TOKYO STATION VISION」だと思います。東京駅丸の内駅舎保存・復原工事の完成を祝して行われた、国内史上最大規模の3Dプロジェクションマッピングで、ピクスからは5名の映像作家が参画し、高精細なフルCG映像を制作しました。イベントには2日間で2万人以上の観客が訪れるとともに、各メディアでも取り上げられ「プロジェクションマッピング」という言葉が映像業界だけではなく一般の方にも広く認知されるきっかけになりました。

これを機に、全国各地からプロジェクションマッピングのご相談をいただくようになります。
「東京スカイツリータウン® ドリームクリスマス 2014」や「六本木ヒルズ10周年 ~LOVE TOKYO~ “Tokyo City Symphony”」
「ファイナルファンタジーXIV『海洋都市ヨコハマ 龍神バハムート、襲来。』」、
東日本大震災後の東北を応援する「鶴ヶ城 プロジェクションマッピング はるか」など、続々と大規模なプロジェクトに参画しました。

さらに、人の顔にプロジェクションマッピングを投影する「OMOTE」も大きな話題となりました。
2014年にフジテレビで放送された「SMAP×SMAP」のコーナーで、SMAPメンバーの顔にプロジェクションマッピングを施した「FACE HACKING」をテレビでご覧になった方もいるのではないでしょうか。当時は世界初となるフェイスマッピング・パフォーマンスでした。

久保田:真新しかったプロジェクションマッピングという技術を一般の人にも受け入れられる表現に落とし込めたのは、ミュージックビデオの制作によりエンターテインメント感覚を磨き上げたピクスだからこそかもしれませんね。

弓削:たしかに、それはあると思います。また、さまざまなご依頼をいただくなかで、プロジェクションマッピングの映像を作るだけではなく、どんな場所でお客さんに何を感じてもらいたいのかという体験の設計や、それを実現させるための技術など、総合的に提案できるチームを作りたいという考えが強まったことが、P.I.C.S. TECHというチームが誕生した理由です。

映像制作だけでなく空間デザインや施工テクニカルディレクションまでの総合演出が可能。P.I.C.S. TECHの強み

久保田:ピクスが映像体験の領域のさらなる拡張に踏み切ったことでP.I.C.S. TECHが誕生したのですね。

弓削:そうですね。P.I.C.S. TECHは「クリエイティブ」「スペース」「テクノロジー」という3つのキーワードを掲げています。クリエイティブは、まさにピクスが以前から主軸とする領域。それ以外のスペース(空間)・テクノロジー(技術)においては、全く異なる専門の知識が必要になります。

チームの設立以来、大学教授や一級建築士、舞台美術、自然科学の研究、エンジニアなど、さまざまなバックグラウンドを持つメンバーが加わり、新しい体験価値の創造を目指しています。

上野:組織のなかではそんな個性的なメンバーがシームレスにコミュニケーションをとっていて、案件ごとに「こんな技術が使えそうだね・じゃあ一緒にやろうよ!」と、能動的にプロジェクトが生まれるのもP.I.C.S. TECHの特徴です。

それぞれのもつスキルやアイデアを掛け算することで、1人の考えだけでは生まれない、より豊かな体験を創り出せるのは、P.I.C.S. TECHの強みでもあり、クリエイターとしてジョインする楽しさでもあります。

久保田:クライアントにとって、映像だけでなく全体の設計からすべて一社に任せられるというのは非常に心強いですね。テクノロジーに弱い映像制作会社に依頼する場合、技術面はまた別会社に依頼しなければならない。

弓削:実際、何をやりたいのか、何をやるべきなのかのアウトプットが定まっていない段階からご相談いただくことも少なくありません。そんなときは「こんな成果を生み出したい」「この研究開発を世の中の新しい価値へと広げたい」など、大きな目標や、目的を伺ったうえで、それを実現していくためのコンセプト立案から、ゴールとなるユーザー体験までの体験設計を元に、体験の中心となるコンテンツや、空間の使い方や作り方、テクニカルディレクション、運営方法まで一貫したクリエイティブディレクションを行っています。

久保田:その結果として、P.I.C.S. TECHは前例のない革新的な映像体験を多く形にしていますよね。しかし、やりたいことがはっきりしていないクライアントに対して、見たこともない企画を提案し、理解してもらうのはなかなか難しそうです…。

弓削:おっしゃる通りです。共通理解に届くまでが一番大変なところかもしれません。だからこそ、私たちは提案段階で丁寧にプロトタイプを開発し、クライアントに体験していただくということを重要視しています。また、プロジェクトが完了した後、その場所がどう活用され、どんな価値を作っていくのか、納品後の運営も見据えてご提案をし、実際に長期的にアドバイザーとして関わる場合もあります。体験空間では、現場での運営も大きな演出に繋がることが多いです、クライアントとともにワンチームになって進めていくのがP.I.C.S. TECHらしい部分だと思います。


次回記事ではP.I.C.S. TECHとして携わったプロジェクトの実績をご紹介していきます。

P.I.C.S.TECHが手がけた先進的なクリエイション実績と制作の裏側【前編】



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