Advanced Research Group
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-クロストーク-
チームワークで 誰も見たことのない未来へ 「IMAGICA GROUP」が テクノロジー×クリエイティブで目指す イノベーションとは
ARG(Advanced Research Group)は、2017年にIMAGICA GROUPに設立された研究開発機関。 グループ内から集結した研究開発職の精鋭たちによって、テクノロジー基盤向上のための研究開発、 先端技術のリサーチ、大学や企業との共同研究などが進められている。 ARGを牽引する安生健一、久保田純の両名が、 ARGの担う役割や「映像」をキーワードに進められている現在進行形の取り組みから、 さらには今後の展望まで、熱い思いを語り尽くす――!
– メンバー –
Advanced Research Group・ディレクター。オー・エル・エム・デジタル 技術顧問、工学博士。 2000年にオー・エル・エム・デジタルに入社し、研究開発部門を設立。現在は同社技術顧問。2018年からは、ニュージーランド・ビクトリア大学のCMIC(CG/VR/ARという幅広い分野の基礎研究だけでなく、商業化までを目指す研究センター)でCo-Directorも務める。SIGGRAPHをはじめとするCGの国際会議で研究成果を発表しつつ、劇場版ポケットモンスターシリーズや実験的映像作品にも貢献。文部科学省の戦略的プロジェクトCREST (2010〜2016年)を契機に、産学連動でCGと数学をより密接に結び付ける活動も推進している。社会活動としては、東京で開催された国際会議SIGGRAPH Asia 2018のカンファレンスチェアも務めた。アメリカの VES(Visual Effects Society)メンバー。
Advanced Research Group・マネージャー。フォトロン 執行役員、兼技術開発本部長。 2005年、IMAGICA(現IMAGICA Lab.)入社。画像処理技術を用いた、映画・CM用の社内ツールの開発に従事。グループ内での会社統合・異動を経て2012年に現在所属するフォトロンに異動。ポスプロ向けテロッパーの新規開発や、放送局向けの映像システムインテグレーションに携わる。2016年にフォトロン内で設立された研究開発センターにて機械学習、3次元スキャン/再構成などの研究開発に取り組み、ECML-PKDD 2016 Discovery Challenge(cQA部門)では世界第1位を獲得。2021年にIMAGICA GROUP内の開発部門がフォトロンに統合され、その責任者として執行役員・技術開発本部長に就任。IMAGICA GROUPの開発部門としてグループ全体の製品・サービス開発や新技術開発を担う。また、Advanced Research Groupのマネージャーとしてグループ横断で将来に向けた研究開発を推進している。
このインタビューは2022年5月におこなわれました。肩書等は実施当時のものです。
#1
ARGってどんなところ?
グループ横断の研究機関が設立された理由は?
安生 : IMAGICA GROUPというと映像制作の企業というイメージが強いかもしれませんが、実はエンジニアや研究職のスタッフも多い。ARGの設立以前から、各事業会社ではリサーチャー・エンジニアがそれぞれに研究開発活動を行っていたんです。私も2000年にアニメーション・映画の制作会社「オー・エル・エム・デジタル」に入社し、すぐにR&D部門を立ち上げました。当時はアニメーション制作において、手書きとCGをどう融合させるか、といったことをテーマに技術開発をしていました。 久保田 : オー・エル・エム・デジタルではいち早く研究開発部門を立ち上げ、長期的なビジョンで将来のための研究開発をしてきた。それが現在のアニメーション制作に活かされていますよね。 安生 : そうですね。ただ、最近のCGは、アニメや映画だけのものではないですね。さまざまな事業分野でネットワーク、クラウド、機械学習と同列の基本技術として使われるようになってきました。そこで、グループ各社が持つ特有の技術を融合し、総合力としてIMAGICA GROUPならではの新技術を開発していこう、というのがARG設立の最初のコンセプトです。 久保田 : 1社でできることには限りがありますしね。一方、単なる発想だけではイノベーションにつながる提案は難しい。企業の垣根を越えて得意なものを持ち寄り、協力し合うことが不可欠な時代になりつつあります。 安生 : 企業、とくに映像制作業界において、こうした研究機関を持つところはなかなか珍しいですよね? 久保田 : 企業において、直接的に利益に結び付かない研究開発投資は、一般的にはなかなか難しいと思います。ただ、これはIMAGICA GROUPのDNAなのかな、我々は常に新しいことを求める人の集まり(笑)。リスクを負ってでも、我々にしかできないことをしたいという気持ちが強い。私自身も1人のエンジニアとして、うまくいくかわからないことにもチャレンジできる環境がある、ということは非常に幸せなことだと感じています。
#2
産学連携で最新技術と現場の課題を融合!
「映像表現」に
インパクトを与える研究へ
安生 : クリエイティブ面はもちろん、技術開発でも高いレベルであり続けるためには、最先端の技術を熟知していなければなりません。そのためにARGの設立以来、注力していることのひとつが大学との共同研究です。 久保田 : たとえば「ライブエンタテインメントのステージで、パフォーマーの動きにリンクするCGをリアルタイムで高精度に合成したい」といった我々の課題を、大学の研究室と共有し、研究のための人材交流と資金提供などを行っています。大学側としては研究を社会に還元するためのアイデアを得ることができる。さらに、研究段階においては、我々の実際の事業でテストして実用化できそうかどうかまで検証することが可能です。研究と実証を繰り返しながらブラッシュアップし、最終的にはプロトタイピングまでを目指す。この仕組みは、研究室のみなさんからもモチベーションが上がる、という声をいただいています。 安生 : エンジニア志望の学生にも、エンタメや映像が好きだという人は多いですよね。ただ、一般的な映像制作会社では、エンジニアの募集は少ない。作品応募が課せられる採用条件を前に、「自分はクリエイターではないから」と諦めてしまう人も多いようです。我々の事業領域に関心を持つ学生のみなさんが専門分野を活かして一緒に研究していけるよう、大学とのネットワークをより一層広げていきたいと考えています。
久保田 :共同研究では、たとえば実際に制作中のアニメーション動画のデータをお渡しして、AIによる自動彩色などさまざまな研究成果をどう適用していくか、といった挑戦もしていただいています。もちろん映像の取り扱いには注意を払っていただき、用途や保管場所などの制限はありますが、研究室では、現在進行中の映像データで研究成果を発揮できるし、私たちは新しい技術を現場で活用するとどうなるかがわかる。双方にとってすごくメリットが大きいですよね。 安生 : 論文を出すことも大きな研究成果ですが、残念ながらそれだけでは社会にインパクトは与えられません。実社会、現場での問題を見つけるということも、研究の重要な要素です。そういう点においても、大学機関と産業界とが連携することは、大きな意味があります。ARGにおいても、論文を共著で発表するケースもあります。 久保田 : また今後は、研究者の方々にもインターンとしてARGに参画していただき、一緒に実績を作っていくようなこともしていきたい。たとえば2年間のインターン後は、大学の研究室に戻る、教鞭をとるといったキャリアプランも考えられると思います。
#3
リアルとバーチャルをつなぐ
バイディレクショナル・リアリティ
安生 : 今後のARGの研究のキーワードは「Bidirectional Reality」。バイディレクショナル、つまりリアルとバーチャル、をつなぐテクノロジーの実現です。
久保田 : たとえば街並みなどの現実世界を撮影、あるいは3次元計測したものは、データとなって仮想空間(バーチャル)に蓄積されます。それを我々が見るときには、モニターやスクリーンに表示しますが、これはある意味でバーチャルからリアルに戻す作業です。その過程に必要なリアルタイムCGやインタラクション技術などはまだまだ発展途上にあります。これらの技術を確立し、社会実装することを、ARGではバイディレクショナル・リアリティと考えています。
安生 : 今、注目されているポイントクラウドも、バイディレクショナル・リアリティのための技術ですね。
久保田 : まさにそうですね。実測した3次元世界や物体は、まずすごく小さくかつ大容量の点群で表されます。単純にいってしまうと、その点を結んだ三角形、四角形を面にして色や質感を貼っていくことで、リアリティのある3D世界になります。ただ、実物とそっくりな3D映像を作ろうと思うと、まだまだ技術的なハードルが高いですね。現在は計測に近いような機器で撮影していますが、それに代わるツールを開発して、撮影しながら3次元にデータを加工できて、さらに3次元で体験ができる、といったものは絶対に必要になると思います。
#4
オープンソース化の時代だからこそ
チームワークが不可欠!
久保田 : これまでは国内外の大学とのコラボレーションを推進してきました。これからは国内外を問わず他企業とのコラボレーションもすすめたいです。かつての日本は自社だけの独自技術を大切にしてきましたが、それだとどうしてもガラパゴス化してしまう。グローバル化時代の今、海外でも通用することを前提に開発していかないと採算もとれませんよね。ARGは、日本を拠点に世界的な視野を持って働きたい、というエンジニア、研究者にとっても魅力的な場になるはずです。 安生 : そうですね。技術のトレンドはオープンソース化。海外の企業が開発・提供している技術などが、容易に活用できるようになっています。ただ、世の中にすでにある技術を使えば、我々やクライアントの求める品質に到達できるかといえば、そうとも限りません。 久保田 : 最新技術にはアンテナを張り巡らせつつ、一過性のトレンドで終わるのか、実用化していけるものなのか、本質を見極めていくこともARGのミッションですね。 安生 : そのうえで、複数の企業、大学が持つ技術を組み合わせながら、新しい技術をどうやってアウトプットするのかを考えていくことが、これからのビジネススタイルになるでしょう。技術をどう組み合わせるか、ということも非常にクリエイティブです。そうしたところにも、大学機関と共同研究してきたARGの知見を活かしていきたいですし、チームプレーの意識で研究に当たることはますます重要になっていきますね。 久保田 : 人を巻き込んでいくって、研究開発の分野においても大事ですよね。
テクノロジーとクリエイティブの両方を備えるARG。
研究開発の場を持つのは映像業界でもユニークです。
自分が心から「すごい!」と思えるような成果を目に見える形に落とし込む研究開発は、とてもやりがいにあふれたもの。
さらに、IMAGICA GROUPにはさまざまな事業領域があることから、テーマ選定の幅が広く、多様な専門性を持つ人材が活躍できる土壌があります。
自分自身の中に「実現したい何か」をもつ方、映像分野が好きな方、ARGでは「誰も見たことのない未来」をともに創り出すメンバーを待っています。
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